iFi audio hip dac 3 Blackの魅力を探る比較レビュー

目次

概要

FiiO BTR17とDD HiFi TC44Gripは、いずれもポータブル環境で高音質を楽しむための定番的な選択肢として知られています。これらの機種はBluetooth接続やコンパクトなサイズを活かし、スマートフォンやPCとの組み合わせで手軽に高品位な音楽体験を提供してきました。その一方で、iFi audio hip dac 3 BlackはUSB接続を中心に据え、より安定した伝送と高い駆動力を備えた設計で登場しました。外観はシンプルながらも質感のあるブラック仕上げで、持ち運びやすさと所有欲を満たすデザインが特徴です。音質面では低域の厚みと中域の滑らかさ、そして高域の伸びやかさがバランス良く調和し、ジャンルを問わず楽しめる点が注目されています。さらに、ヘッドホンアンプとしての駆動力は小型機ながら余裕があり、インイヤーからオーバーイヤーまで幅広いヘッドホンに対応可能です。比較対象のFiiO BTR17はワイヤレスの利便性を強みとし、DD HiFi TC44Gripは超コンパクトさとシンプルな操作性を魅力としていますが、hip dac 3 Blackは有線接続ならではの安定感と音質重視の設計で差別化を図っています。これにより、外出先でも本格的な音楽再生を求めるユーザーにとって、選択肢の幅を広げる存在となっています。各機種の方向性が異なるからこそ、どのような利用シーンに適しているのかを見極めることが重要であり、その比較を通じて自分に合った一台を見つける楽しみが広がります。

比較表

機種名(固定文言) iFi audio hip dac 3 Black FiiO BTR17 DD HiFi TC44Grip
画像
タイプ ポータブルヘッドホンアンプ/DAC Bluetoothヘッドホンアンプ/DAC ドングル型ポータブルDAC/AMP
DACチップ Burr-Brown製DAC ES9069Q×2 Cirrus Logic CS43198×2
アンプ構成 カスタムiFi OV op-amp THX AAA 78+×4 SGM8262-2×2
最大出力(32Ω) 280mW 650mW 330mW
最大出力電圧(600Ω) 3.2V 不明 3.3Vrms
対応サンプリング周波数 384kHz 384kHz 768kHz
量子化ビット数 32bit 32bit 32bit
DSD対応 DSD256 DSD対応 DSD64/128/256
MQA対応 フルデコード 対応 非対応
Bluetooth対応 非対応 Bluetooth 5.4 LDAC/aptX Lossless 非対応
USB端子 USB-C×2(オーディオ/充電) USB-C USB-C
ヘッドホン端子 3.5mm S-Balanced, 4.4mmバランス 3.5mm, 4.4mmバランス 3.5mm, 4.4mmバランス
バッテリー駆動時間 約8〜12時間 不明 スマホ給電依存
電源供給 USB/内蔵バッテリー USB/外部電源/バッテリー USB-C(スマホ給電)
サイズ(mm) 70×14×102 不明 コンパクト設計
重量 135g 不明 不明
ノイズ低減技術 GMT回路+新水晶発振器 精密電源設計 低ノイズ設計
特長機能 PowerMatch/iEMatch 10バンドPEQ調整 スマホ背面装着可能、PD60W充電対応
S/N比 不明 不明 ≥125dB
THD+N 不明 不明 ≤0.0004%

比較詳細

iFi audio hip dac 3 Blackを手にした瞬間、まず感じるのはその質感の落ち着きと手のひらに収まる安心感であり、アルミの冷たさが音楽を聴く前から期待を高めてくれる。実際に耳にした音は、低域が厚みを持ちながらも輪郭が崩れず、ベースラインがしっかりと床を支えるように響く。FiiO BTR17と比べると、同じ楽曲でも音場の広がり方が異なり、hip dac 3は奥行きが自然に感じられ、ライブ録音の臨場感が一歩前に出てくる印象を受けた。DD HiFi TC44Gripではシャープさが際立ち、細部の解像度は高いが、長時間聴いているとやや硬質に感じる場面もあり、hip dac 3の柔らかさと力強さのバランスが心地よく感じられる。

ボーカルの質感に関しても差が明確で、hip dac 3は人の声を温かく包み込むように再生し、特に女性ボーカルの艶やかさが自然に浮かび上がる。BTR17はBluetooth接続の利便性を持ちながらも、音の厚みではやや控えめで、軽快さを優先する傾向があるため、ポップスや電子音楽では爽快に聴けるが、ジャズやアコースティックではhip dac 3の方が余韻の美しさを感じやすい。TC44Gripは瞬発力があり、打楽器のアタックが鋭く飛び出すが、音の余韻が短く切れるため、クラシックの弦楽器の響きでは少し物足りなさを覚えることがあった。

実際に使い込むと、hip dac 3は電源の安定感と駆動力が際立ち、インピーダンスの高いヘッドホンでも余裕を持って鳴らし切る力を感じる。BTR17は携帯性と多機能性が魅力で、スマートフォンとの組み合わせで手軽に高音質を楽しめるが、駆動力ではhip dac 3に一歩譲る印象がある。TC44Gripはコンパクトさが最大の武器で、USB直挿しで即座に音が出る便利さはあるものの、長時間リスニングでは音の厚みが不足し、hip dac 3の包容力に戻りたくなる瞬間が多かった。

音の階調表現においても違いがあり、hip dac 3はピアノの鍵盤を叩いた瞬間から消えゆくまでのグラデーションが滑らかで、空気感を伴って響く。BTR17はスピード感を重視しており、音の立ち上がりは俊敏だが、余韻の伸びはやや短く、音楽の奥行きを求める人には物足りなく感じるかもしれない。TC44Gripは解像度が高く、細部の情報量は豊富だが、全体のまとまりではhip dac 3の自然さに軍配が上がる。

実際の体験として、夜に静かな部屋でhip dac 3を使うと、音楽が空間全体に広がり、まるで演奏者が目の前にいるような錯覚を覚える。BTR17では軽快さが心地よく、外出先で気軽に楽しむには十分だが、深い没入感を求める場面ではhip dac 3の方が圧倒的に魅力的だった。TC44Gripは短時間の試聴や移動中に便利だが、じっくり腰を据えて聴くときには音の厚みが足りず、hip dac 3の豊かな響きに戻りたくなる。

また、音楽ジャンルごとの相性も異なる。hip dac 3はクラシックやジャズで真価を発揮し、楽器の質感やホールの響きを自然に再現する。BTR17はエレクトロやポップスで軽快に鳴り、テンポの速い曲に合う。TC44Gripはロックや打ち込み系で瞬発力を感じられるが、音の厚みや余韻を求めるジャンルではhip dac 3の方が圧倒的に満足度が高い。

長時間聴いていても疲れにくいのもhip dac 3の強みで、音の角が丸く、耳に優しい響きが続く。BTR17は軽快さが魅力だが、音の厚みが不足するため長時間では少し物足りなさを感じることがある。TC44Gripは解像度の高さが際立つが、硬質な音が続くと耳に負担を感じる場面もあり、結果的にhip dac 3の柔らかさと力強さのバランスが最も快適に感じられた。

総じて、hip dac 3 Blackは単なるスペックの優劣ではなく、音楽を聴く体験そのものを豊かにしてくれる存在であり、他の機種と比べても体感できる差が明確にある。BTR17やTC44Gripもそれぞれの強みを持つが、音楽を深く味わいたいとき、心地よい余韻に浸りたいときにはhip dac 3が最も頼れる相棒となる。実際に使ってみると、その違いは数値では表せないほど鮮明で、音楽を聴く喜びを再確認させてくれる。

まとめ

最終的にもっとも心を掴んだのはiFi audio hip dac 3 Black。静かな深夜に耳を澄ますと、背景の黒がすっと沈み、ボーカルの息遣いが手前にスッと現れる。XBassを軽く添えると量感が出るが輪郭は崩れず、金属筐体のひんやりした質感も含めて所有欲を満たす。手の中でほどよい重みが安心感を醸し、通勤時の短い曲でも自宅の長時間リスニングでもムードを邪魔しない。接続は素直で、曲を替えるたびに「もう一曲」と思わせる落ち着いた説得力がある。次点はFiiO BTR17。ワイヤレスの自由度がもたらす軽快さは魅力で、移動が多い日でも音楽の途切れにくさが行動を前向きにする。高解像の見通しとキビキビしたレスポンスは作業用BGMにも合い、机上から立ち上がっても身軽さがそのまま続く。ただ、長く聴くときは音のエッジが僅かに前に出て、曲によっては「聴かされている」感が出ることがある。三番手はDD HiFi TC44Grip。コンパクトで、スマホと一体化した握り心地は快適。短時間の試聴や散歩の相棒としては十分に楽しく、軽い装着で音がキュッと締まる。ただ、音場の広がりは控えめで、層を重ねる曲ではまとめ方が少し真面目すぎて、余韻の遊び心が物足りない場面がある。総じて、腰を据えて音楽の質感を味わいたいならhip dac 3 Blackがベストチョイス。移動の自由と機能の便利さを優先するならBTR17、身軽さと手早さを取るならTC44Gripが心地よい。今回は、音の品位と触れていたくなる質感の両立という観点で、hip dac 3 Blackをおすすめとしてまとめたい。

引用

https://ifi-audio.com/products/hip-dac-3/

https://www.fiio.com/btr17

https://www.ddhifi.com


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