目次
概要
SONY WF-1000XM5、Technics EAH-AZ80、Apple AirPods Pro 3 MFHP4J/A。三機種の個性がはっきりと分かれる中で、日常に持ち込んだときの「心地よさ」と「使い勝手の質」を軸に比較していきます。音の傾向やノイズ低減の印象だけで序列をつけるのではなく、通勤・在宅・カフェ作業・通話・動画視聴といった具体的な場面での快適度を丁寧に見ていく方針です。装着感は短時間だけでは評価がぶれやすいので、耳への圧やフィットの安定感、長時間での疲労、歩行時のズレまでチェック。操作はタップやボタンの確実性、誤作動の少なさ、反応速度を重視します。音質は低域の量感が輪郭を損なわないか、ボーカルの質感が潰れずに前に出るか、シンバルの伸びや余韻の自然さまで踏み込みます。通話では周囲の騒音下で相手にどう聞こえるか、風切り音や打鍵音の扱いも比較対象。さらに、接続の安定性、切り替えの快適さ、端末との連携機能が実用の差を生みやすい点として注視します。ここまで読んで「結局どれが万能なの?」と思うかもしれませんが、万能の定義は人と環境で変わります。次のセクションでは、それぞれの強みがどの場面で光るのかを分かりやすい切り口で整理し、迷いどころを気持ちよく解消できるように具体例を添えて掘り下げます。
比較表
| 機種名(固定文言) | Apple AirPods Pro 3 MFHP4J/A | SONY WF-1000XM5 | Technics EAH-AZ80 |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| Bluetoothバージョン | 5.3 | 5.3 | 5.3 |
| 対応コーデック | SBC、AAC | SBC、AAC、LDAC、LC3 | LDAC、SBC、AAC |
| 対応プロファイル | 不明 | A2DP、AVRCP、HFP、HSP、TMAP、CSIP、MCP、VCP、CCP | A2DP、AVRCP、HSP、HFP |
| ノイズキャンセリング | 対応 | 対応 | 対応 |
| 外音取り込み | 対応 | 対応 | 対応 |
| 防塵防水等級 | IP57 | IPX4 | IPX4 |
| ドライバー構成 | 不明 | ダイナミック 8.4mm | ダイナミック 直径10mm |
| 連続再生時間(本体・NCオン) | 最大8時間 | 最大8時間 | 約7.0時間(AAC)/約6.5時間(SBC)/約4.5時間(LDAC) |
| 連続再生時間(本体・NCオフ) | 不明 | 最大12時間 | 約7.5時間(AAC)/約5.0時間(LDAC) |
| 合計再生時間(本体+ケース・NCオン) | 約24時間 | 不明 | 約24時間(AAC)/約23時間(SBC)/約16時間(LDAC) |
| 連続通話時間(本体) | 不明 | 最大6時間(NCオン)/最大7時間(NCオフ) | 不明 |
| クイック充電(本体) | 不明 | 3分充電で約60分再生 | 15分充電で約70分再生(NCオン・AAC) |
| 充電方式(ケース) | USB-C、MagSafe、Apple Watch充電器、Qi | USB充電、ワイヤレス充電(ケース使用) | USB-C、Qi |
| Bluetooth周波数帯 | 不明 | 2.4GHz帯(2.4000〜2.4835GHz) | 2402〜2480MHz |
| 有効通信距離 | 不明 | 約10m | 不明 |
| 周波数応答(Bluetooth通信時) | 不明 | 20Hz〜20,000Hz(44.1kHz)/20Hz〜40,000Hz(LDAC 96kHz 990kbps) | 不明 |
| ケース充電時間 | 不明 | 約2時間 | 約2.5時間 |
| 本体充電時間 | 不明 | 約1.5時間 | 約2.0時間 |
| イヤホン本体質量(片側) | 約5.55g | 約5.9g | 約7g |
| 充電ケース質量 | 約43.99g | 約39g | 約50g |
| イヤホン本体寸法 | 高さ30.9mm、幅19.2mm、厚さ27.0mm | 不明 | 不明 |
| 充電ケース寸法 | 高さ47.2mm、幅62.2mm、厚さ21.8mm | 不明 | 不明 |
| 同時接続(マルチポイント) | 対応(詳細不明) | 対応 | 3台マルチポイント接続 |
| コンテンツ保護 | 不明 | SCMS-T | 不明 |
| チップセット | Apple H2(本体)、第2世代UWB(ケース) | 不明 | Airoha AB1565M |
比較詳細
AirPods Pro 3 MFHP4J/Aを数日間持ち歩いて、朝の通勤から夜の執筆まで徹底的に使い込んでみると、まず「耳への馴染み方」が他機種と違うと感じました。ステムのある形状が指先での操作を確かなものにし、軽く収まっているのに密着感は適度。耳道内の圧迫が少なく、長時間でも肩の力が抜けるような自然さが続きます。WF-1000XM5は柔らかなイヤーチップで包み込まれる感覚が強く、遮断の度合いが一段深い分、装着直後にほんのわずかな圧を意識します。EAH-AZ80はシェルの造形が独特で、耳への固定がガッチリ決まり、動いてもズレにくいのが安心。装着の「軽さ」はAirPods Pro 3、遮断の「濃さ」はWF-1000XM5、固定の「確かさ」はAZ80と、それぞれ体感のベクトルが異なります。
地下鉄ホームで試した瞬間の騒音処理は、空気がすっと薄くなるような感覚でAirPods Pro 3が得意です。低域のゴーッといううねりが小さくなるだけでなく、中域のザワザワも自然に落ち着き、耳の前に透明な膜が一枚入るような静けさが生まれます。WF-1000XM5は低周波の轟音に対して強烈に効き、騒音を積極的に押しのけて「静寂に連れ込む」力が勝る印象。EAH-AZ80は低域の抑え込みよりも音の形を崩さず保つ方向で、抑制は滑らか。結果として、騒音の種類によって体感差が出ます。電車の走行音のような低い唸りはWF-1000XM5の勝ち、広いカフェの反響や人の話し声の混ざり合いはAirPods Pro 3がバランスよく整え、AZ80は音楽の質感をキープしたまま穏やかにノイズを遠ざけます。
音の作りでは、AirPods Pro 3は輪郭がきれいに立った中高域と、弾力のある低域が上品に噛み合います。ヴォーカルの息遣いが前に出すぎず、それでいて唇の湿度や子音のキラッとした瞬間が生々しく、ステージの端がすっきり見渡せる感じ。WF-1000XM5は厚めのボディで包み込む音像が魅力で、ベースのラインが体の中心に通っていくような「重心の安定」を感じます。EAH-AZ80は楽器間の間合いが巧みで、背景のリヴァーブや空気の余白まで拾い上げ、アンサンブルの立体感が自然にほどける。ポップスでの「歌の見え方」はAirPods Pro 3、エレクトロやヒップホップでの「ノリの深さ」はWF-1000XM5、ジャズやアコースティックでの「空間の広がり」はAZ80が心地よく響きます。
透過モードの自然さはAirPods Pro 3が一歩抜けています。イヤホンを着けたままスタッフと会話しても、声のボリュームが耳に刺さらず、現場の音が自分のいる空間に継ぎ目なく紛れ込んでくる感覚。紙コップが机にあたる音や、衣擦れのささやきまで誇張なく届き、外した時の聴こえ方とほとんど変わらない。WF-1000XM5は透過時に若干の人工的な補正を感じる場面がありつつも、騒がしい場所でも言葉を聞き取りやすい利点があり、声の輪郭がくっきりします。AZ80は外音の質感が混ざりにくく、声の芯が太く伝わるタイプで、打ち合わせやアナウンスの判別に強い。日常の「つけっぱなし」前提で違和感が減るのはAirPods Pro 3、言葉の明瞭さ優先ならWF-1000XM5、声音の実在感重視ならAZ80という選び分けが体感的に成り立ちます。
操作感はAirPods Pro 3のステムをつまんで確信を持ってクリックする所作が、一度馴染むと手癖になります。意図しないタッチがほぼ起きず、コマンドの成功率が高い。WF-1000XM5はタップが軽快で、音量・曲送りの設定自由度が高い反面、冬場の手袋や雨での誤認がたまに起きる印象。AZ80はタッチの反応がシャープで、テンポ良く切り替えられるのが気持ちいいですが、微妙な長押しの時間調整に慣れが必要。移動中に「確実に操作したい」ならAirPods Pro 3のつまみ動作が安心、デスクで細かくカスタムしたいならWF-1000XM5、素早い切り替えの気持ち良さはAZ80が応えてくれます。
通話品質は、AirPods Pro 3が屋内・屋外での安定感に優れ、相手の発話が耳元で歪まず届くだけでなく、こちらの声の角が取れて伝わる印象。駅前の喧騒でも「声だけを引き上げる」ように働き、鼻音や息の漏れが抑えめで整います。WF-1000XM5は低域ノイズへの耐性が強く、車道沿いでも通話が途切れにくい一方、声の質感はやや硬めに感じる場面あり。AZ80は声の芯が太く、会議アプリでの音声が相手側で聞き取りやすいと評されやすい素直さがあり、滑舌の良い人ほど相性が良い。オンラインミーティングやビジネス用途での「聞かれやすさ」を重視するならAZ80、騒がしい外出先での「途切れにくさ」はWF-1000XM5、普段使いの総合バランスはAirPods Pro 3が快適でした。
バッテリーの持ちについては、一日の中で会議・音楽・移動を繰り返す使い方でもAirPods Pro 3は「予定が伸びても気が散らない」余裕を感じます。季節や音量で多少の揺れはあるものの、ケース込みでの合計が読みやすく、急な外出にも構えられる。WF-1000XM5は連続再生のタフさが魅力で、音量高めでも粘り強く、ANCをオンにしたままでも不満が出にくい。AZ80はバランス型で、透過・ANCを切り替えながらの使い方でも減り方が素直。体感としては、長丁場の執筆や出張で「電池のことを忘れたい」ならAirPods Pro 3、「音量を上げて没頭し続けたい」ならWF-1000XM5、「オンオフ頻繁でも減りが読める」ならAZ80です。
接続安定性は、AirPods Pro 3が特に端末の切り替えで気持ちよさを見せます。手に持ったデバイスにスッと引き寄せられるように音が移り、音声遅延も動画用途で違和感が少ない。WF-1000XM5は符号化方式の選択肢が広い環境で威力を発揮し、音質優先の接続でも実用的な安定度。AZ80は複数端末を同時に扱う場面での管理が賢く、仕事用と個人用の切り替えが日常化している人には便利。いずれも途切れは少ないものの、「切り替えの滑らかさを生活のストレスから解放してくれる」のはAirPods Pro 3だと感じます。
細部の音質チューニングは、AirPods Pro 3が「近景の情報量」を巧みに出しつつ、奥行きの輪郭を整えるのが上手い。ハイハットの微細な粒立ちや、コーラスの重なりの密度が、耳の負担なく見通せるバランス。WF-1000XM5は低域の膨らみと中域の温度感で、体が自然にリズムに乗る。EAH-AZ80は背景の空気と残響に品があり、ライブ録音の空間に自分が立つイメージが湧いてくる。結果として、繊細なニュアンスを拾う楽しみはAirPods Pro 3、体幹でグルーヴを掴む喜びはWF-1000XM5、空間全体を眺める気持ちよさはAZ80が光ります。
夜更けに音量を絞って聴くと、AirPods Pro 3は小さなボリュームでも輪郭が崩れにくく、細部の描写が保たれます。静かにページをめくるような音楽鑑賞が成立し、耳の疲労が翌朝に響きにくい。WF-1000XM5は音量を下げても低域の芯が残り、静かな部屋での「厚みの存在感」が頼もしい。AZ80は微小音量でもステレオの広がりが保たれ、背景音のレイヤー感がなくならない。遅い時間に静かな満足を得たいならAirPods Pro 3、夜でもノリを失いたくないならWF-1000XM5、余白の美学を楽しみたいならAZ80という選択が自然に思えます。
一方で、差が出にくい場面もあります。例えば、ニュース動画やポッドキャストのように声中心のコンテンツでは、三機種ともに言葉の明瞭度が高く、日常使用で「決定的な優劣」は感じづらい。ただし、長時間の視聴に入るとAirPods Pro 3は声のサ行や破裂音の角が丸く、疲れが溜まりにくいバランスが効いてきます。WF-1000XM5は深い声質のラジオで落ち着いた低音の支えがあり、AZ80は複数人の会話で話者の位置関係が掴みやすい。声ものでは違いは小さいが、積み重ねると選好が分かれる、というのが率直な実感です。
携帯性と日々の扱いやすさでは、AirPods Pro 3のケースがポケットに入れても存在感が薄く、取り出し・収納の動作がスムーズ。開閉のトルク感が程よく、片手で扱いやすい。WF-1000XM5はケース形状が丸く、手触りが柔らかいのが好みの人も多いはず。AZ80は角の立ち具合で掴みやすく、バッグの中でも所在が分かりやすい。細かな使い勝手の「気持ちよさ」で日々の満足が増えるタイプはAirPods Pro 3、素材の質感や丸みの安心感を愛でたいならWF-1000XM5、視認性や出し入れの確かさを重視するならAZ80です。
総じて、AirPods Pro 3 MFHP4J/Aは「音の整理整頓」と「生活への溶け込み」が抜群で、着けていることを忘れて仕事も移動も続けられる相棒という印象。WF-1000XM5は静寂へ連れ込む力と低域の気持ち良さで、音楽へ没入したい時間に最高の選択。EAH-AZ80は空間の描写と通話の素直さが頼もしく、オン・オフの切り替えが多い日常に強い。体感できる差は、騒音の種類、聴くジャンル、使う時間帯で確かに出ます。自分の暮らしのリズムに最も自然に寄り添ってくれるのがどれか――そう考えると、私は朝から夜まで「違和感のなさ」で選ぶならAirPods Pro 3、音楽に溺れる夜ならWF-1000XM5、会議と移動を行き来する忙しい日ならAZ80に手が伸びる、と胸の内で自然に振り分けができました。着けた瞬間の静けさ、指先の操作の確かさ、声の滑らかさ、どれも小さな幸福の積み重ね。次の一日を気持ちよく過ごしたくて、明日もこの三機種を使い分ける自分が目に浮かびます。
まとめ
今回の3機種を日々の制作と通勤でじっくり使い分けてみて、最終的に心に残った順で総評します。まず、AirPods Pro 3 MFHP4J/Aは雑踏の中でもふっと視界が開けるような静けさを作ってくれて、音のレイヤーが自然に重なる感覚が心地いい。ボーカルの口元がすっと近づくのに、シンセの伸びや余韻は広がる—その両立が見事で、音楽に入り込みたい夜更けのレビュー執筆でも集中を崩さない。装着の収まりが安定し、切り替えや操作の迷いがなく、生活に溶け込む「常用の核」になり得る存在だと実感した。次点のSONY WF-1000XM5は、微細な粒立ちと空間の整え方がうまく、曲の構造が立体的に見える。アプリ調整の幅が効き、ジャンル横断の追い込みに向くが、時折中域の主張が強く感じる場面もあり、長時間の作業では好みが分かれそう。Technics EAH-AZ80は澄んだ透明感とスピード感のある低域が魅力で、細部のディテールを拾う快感がある一方、装着感は耳との相性が出やすく、ベストフィットに到達するまで試行が必要だった。総じて「生活の一部として迷わず選べる音と機能のバランス」でAirPods Pro 3が頭ひとつ抜け、制作や移動を気持ちよく整えてくれる。ベストチョイスはAirPods Pro 3 MFHP4J/A。迷ったらこれを軸に、音のキャラクターや装着の好みでWF-1000XM5、解像の快感を求めるならEAH-AZ80を検討すると綺麗に収まる。
引用
https://www.apple.com/jp/airpods-pro/
https://www.sony.jp/headphone/products/WF-1000XM5/
https://jp.technics.com/products/eah-az80/
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