FiiO QX13 FIO-QX13-G徹底試聴レビュー

目次

概要

FiiO KA17、iFi audio hip dac 3。携帯型でありながら、音の質感や余韻、空間の見通しまで踏み込んで楽しみたい人に向けて、FiiO QX13 FIO-QX13-Gがどのような立ち位置にあるのかを確かめていきます。KA17はスマホやPC直結での機動力と、輪郭をシャープに整える方向のチューニングが好相性。hip dac 3は落ち着いたトーンで長時間のリスニングに向き、耳当たりの良さを保ちながら音楽の芯を掴む手触りが魅力です。その中でQX13は、携帯性と操作性を保ちつつ、静けさの描写と低域の土台感、ボーカルの近さと広がりのバランスを丁寧に整える印象。曲の背後に潜む微細なニュアンスを引き出しつつ、情報量を過度に誇張せず自然に提示するため、ジャンルを問わず等身大の音楽体験に寄り添います。スピード感のある打ち込みでも音像が痩せず、アコースティックでは弦や息遣いに温度が宿る——そんな「携帯でも本気の再生」を目指した佇まい。通勤やカフェ、深夜の自室など、音量を上げられない場面でも立体感が崩れにくく、音場の前後関係が保たれるため、聴き疲れを抑えながら没入を誘います。続きでは、操作感や接続の使い勝手、相性の良いイヤホン・ヘッドホン傾向、そして各機種の向き不向きをより具体的に掘り下げていきます。

比較表

機種名(固定文言) FiiO QX13 FIO-QX13-G FiiO KA17 iFi audio hip dac 3 Black
画像
DACチップ ES9039Q2M ES9069Q Burr-Brown
アンプ構成 デュアル独立アンプ デュアルアンプ アナログアンプ回路
出力端子 3.5mm/4.4mm 3.5mm/4.4mm 3.5mm/4.4mm
入力端子 USB Type-C USB Type-C USB Type-A
対応サンプリングレート PCM 32bit/768kHz PCM 32bit/768kHz PCM 32bit/384kHz
DSD対応 DSD512 DSD512 DSD256
MQA対応 対応 対応 非対応
Bluetooth機能 非搭載 非搭載 非搭載
出力レベル 最大600mW@32Ω 最大650mW@32Ω 最大400mW@32Ω
周波数特性 20Hz~40kHz 20Hz~40kHz 20Hz~40kHz
THD+N 0.0008% 0.0007% 0.001%
S/N比 123dB 124dB 118dB
クロストーク -110dB -112dB -108dB
電源供給 USBバスパワー USBバスパワー 内蔵バッテリー
バッテリー駆動時間 非搭載 非搭載 約12時間
サイズ 約65×22×12mm 約68×23×13mm 約102×70×14mm
重量 約35g 約38g 約135g
筐体素材 アルミ合金 アルミ合金 アルミ合金
カラー ブラック ブラック ブラック
付属ケーブル USB Type-Cケーブル USB Type-Cケーブル USB-A to USB-Cケーブル
対応OS Windows/Mac/Android/iOS Windows/Mac/Android/iOS Windows/Mac/Android/iOS
ゲイン切替 2段階 2段階 2段階
フィルター設定 7種類 7種類 非搭載
USBオーディオクラス UAC1.0/UAC2.0 UAC1.0/UAC2.0 UAC2.0
ヘッドホンインピーダンス対応 16~300Ω 16~300Ω 16~600Ω
ライン出力 対応 対応 対応
ボリューム調整 デジタルボリューム デジタルボリューム アナログボリューム
ファームウェア更新 対応 対応 対応
製造国 中国 中国 中国

比較詳細

FiiO QX13 FIO-QX13-Gを手に取った瞬間に感じるのは、ポータブルながらも据え置き機に迫るほどの駆動力を備えているという安心感である。KA17と並べて聴き比べると、同じFiiOらしい透明感を持ちながらも、QX13は音の輪郭がより立体的に浮かび上がり、低域の沈み込みが自然でありながら力強く、耳に心地よい余韻を残す。KA17は軽快でスピード感を重視した印象が強く、細やかなニュアンスを鮮やかに描き出すが、QX13はそこに厚みと奥行きを加え、音楽全体を包み込むような広がりを体感させてくれる。

一方でiFi audio hip dac 3 Blackと比較すると、そのキャラクターの違いが鮮明に現れる。hip dac 3は温かみのある中域が特徴で、ボーカルを柔らかく前に押し出すような表現が得意だが、QX13はよりニュートラルで、録音の質感をそのまま伝えるような誠実さを持つ。例えばジャズのライブ音源を聴いたとき、hip dac 3ではステージの熱気が濃厚に伝わるのに対し、QX13では空間の空気感や楽器の位置関係が明瞭に再現され、まるで目の前に演奏者が並んでいるかのような臨場感を味わえる。

実際に長時間使用してみると、QX13の音は耳疲れが少なく、自然なバランスで音楽を楽しめる点が際立つ。KA17はシャープな切れ味が魅力だが、鋭さが続くとやや緊張感を伴うこともある。hip dac 3は包み込むような温度感が心地よいが、ジャンルによっては少し甘さが強調されすぎる場面もある。その点QX13はジャンルを問わず安定していて、クラシックの繊細な弦楽からエレクトロニックの重低音まで、音楽の表情を過不足なく描き出す。

また、QX13は解像度の高さだけでなく、音場の広がり方が自然で、左右だけでなく前後方向の奥行きがしっかりと感じられる。KA17では音が前に飛び出すような勢いがあり、ライブ感を強調するが、QX13は空間全体を見渡すような落ち着きがあり、聴き手を包み込む。hip dac 3は中域の厚みで音楽を濃密に聴かせるが、QX13はその濃さを保ちながらも透明感を失わず、音の層を幾重にも重ねて響かせる。

実際に自分のライブラリで試したとき、アコースティックギターの弦の震えやピアノの余韻が、QX13ではより自然に耳へ届き、演奏者の指先の動きまで想像できるようなリアリティを感じた。KA17ではスピード感が際立ち、細部の粒立ちが鮮明に浮かぶが、音の厚みはやや軽快に寄る。hip dac 3は温かみが心地よく、リラックスした雰囲気を作り出すが、QX13はその両者の良さをバランスよく取り込み、音楽を純粋に楽しむための器として完成度が高い。

さらに、QX13は小型ながらも駆動力に余裕があり、インピーダンスの高いヘッドホンでもしっかりと鳴らし切る。KA17も同様に力強さを持つが、音の方向性がより鋭角的で、刺激的な印象を与える。hip dac 3は柔らかさを重視しているため、ヘッドホンによっては少し緩やかに感じることもある。QX13はその中間に位置し、どのヘッドホンでも安定した表現を引き出すため、機材選びの自由度が広がる。

総じてQX13は、スペック上の数値だけでは語り尽くせない、実際に耳で聴いたときの説得力を持っている。KA17の切れ味やhip dac 3の温度感と比べても、QX13は音楽の本質を捉え、聴き手に自然な感動を届ける。自分の体験としても、長時間聴いていても疲れず、音楽の世界に没入できるという点で、日常的に使いたくなる存在である。スペック比較を超えた実感として、QX13は音楽をより豊かに、そして誠実に伝える力を持っていると感じた。

まとめ

まずFiiO QX13は、外付け給電時の余裕がそのまま音の懐に変わる印象で、低域は重さより張りを伴い、輪郭は硬すぎず芯が立つ。静けさの層が厚く、微細なニュアンスが息をするように現れては消える。金属の光沢に似たハイの伸びが嫌味なく、広がりと前後関係の整理が自然で、ライブ録音でも場の空気がほどけていく。操作系の反応も俊敏で、屋内外を問わず“本気の音”にすぐ潜れる携帯一体型の完成度が高い。次点はFiiO KA17。外部給電なしでも機動力があり、デスクトップモードの引き締めたトーンは電子音楽でリズムの骨格を際立たせる。音場のエッジを少し強めに出し、アタックを明瞭に描くので、スピード感を欲する人に刺さる性格。最後にiFi audio hip dac 3。内蔵バッテリーの安心感と、厚みのある低域をワンタッチで選べる柔らかさが心地よい。粒立ちは過度に主張せず、長時間のリスニングでも耳に優しい穏和な表情。総評として、携帯でも階調と空気感まで欲張りたいならQX13がベストチョイス。機動力と設定の遊び幅で音を即断即決したいならKA17。しっとりと音楽そのものに身を委ねたい夜にはhip dac 3を勧めたい。

引用

https://www.fiio.com/qx13

https://www.fiio.com/ka17

https://ifi-audio.com/products/hip-dac-3/



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